賃貸借契約と民法改正②連帯保証人やめられる?

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髙木 秀邦
次世代型出世ビルCEO 東京都府中市出身/早稲田大学商学部卒 信託銀行系大手不動産仲介会社を経て株式会社高木ビル専務取締役へ。 東京都中心に自社ビル・マンションの設計開発~管理運営をおこなっている。 オフィスビルの新たな価値創生を掲げ活動している。 宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/相続士

オフィス賃貸借契約と民法改正②~連帯保証人をやめたい?

120年ぶりの民法改正。

2017 年5月「企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定に関する改正民法」が成立しました。
特に「連帯保証」に関する規定が大きく変わり、オフィス賃貸借契約に影響がでてくることになります。
なんと、民法が制定されてから約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直されたことになります。

そこで、
本シリーズでは、「民法改正とオフィス賃貸借に与える影響」また「そもそもオフィス賃貸借契約に民法規定がどの様に関わっていたのか」など、ビルオーナー視点でお話していきたいと思います。

 

第2回目は、

「連帯保証人って、やめられるの?」という、
単純な疑問についてお話させていただきます。

 

前回(第1回目)にて、そもそも連帯保証人とは?という点を簡単にご説明させていただきました。

 

お読みいただいた皆様には、連帯保証人には非常に重い責任が負荷されていることをご理解いただいたたと存じます。
そこで、もしご自身が連帯保証人になったことを想定し次の様な疑問をお持ちになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

「当初は善意で連帯保証人になったけど、やめたいな。解除したいけどできるのだろうか??」と。

 

<回答>

理論上は「連帯保証人は途中でやめること(解除)することが可能」です。

 

ん?「理論上は」という気持ち悪い言葉がついていますね。

どういう意味かと申しますと、

連帯保証(連帯保証契約)とは、民法に定められた「契約」によって効力が発生しておりますので、

通常の契約行為同様に、関係者(債権者:ここでは貸主)が承諾して合意解除する(連帯保証契約を終了する)」ことは可能なのです。

しかし、

この関係者合意、つまり「貸主の合意(承諾)があれば」という条件ですが、

この「貸主の承諾をとること」が、実務上は非常に困難なのです。

 

善意や好意で連帯保証人になった身になって考えると「そんな!良かれと思ってなったのに、自由にやめられないなんで・・・」とも思えますが、

ここでは貸主ビルオーナーの立場になって考えてみましょう。

 

貸主ビルオーナーとしては、テナント入居者が万が一賃料滞納・不払い等発生した場合の債務保証として連帯保証契約を締結しているので、その連帯保証人がやめたいからといって「はいどうぞ!」というわけにはいかないのです。

何故なら、連帯保証人があっさりやめてしまえるものならば、テナント企業が賃料等支払いから逃げてしまった場合、どこにも請求することができずビルオーナーは大きな損害をこうむってしまうからです。

通常入居時に、ビルオーナーはテナント企業から財務資料等を提供してもらい与信(財務)審査を行い、このビルに入居し継続的に賃料を払っていける企業なのかどうかを審査・判断したうえで賃貸借契約に至ります。

その審査過程で、テナント企業の規模や財務等の様々な理由よって、連帯保証人を立てることが入居の条件となる場合に連帯保証契約を締結しております。

つまり、ビルオーナーは「万が一に備えている」のです。

連帯保証人の立場からみると、例えば「今現在まで、賃料滞納もなく、業績も順調なので、連帯保証人がいなくてもいいのでは!?」という気持ちにもなろうかと思いますが、あくまで保証は「万が一の備え」であり今現在が良いか悪いかという判断基準ではないため、ビルオーナーは連帯保証人を単純に合意解除して不要とすることは大変難しいのです。

 

では、一歩すすんで「万が一の備え」を別に用意できれば良いのでは?
という疑問が出てくると思います。

もし、現状の連帯保証人Aさんが、別の新連帯保証人Bさんを連れてくれば良いのでは?ということです。
これも、理論上は可能。つまり、ビルオーナー側が合意できれば可能です。

しかし、現実にはこの方法にも大きなハードルがあると言わざるをえません。

 

まず、Aさんが途中でやめたいような連帯保証を引き受けてくれるBさんはまずなかなか居ないことでしょう。

また、
ビルオーナーもいきなり連れてこられたBさんを信用できるかどうか判りませんので、承諾することは難しいです。

Bさんが連帯保証人として適格(社会的信頼がある)なのか?保証できるだけの財産をもっているのか?等の審査・判断する必要があり、余程の場合でなければそのハードルを越えることは難しいのです。

さらに言えば、実務上ではその検討すらしてくれないケースの方が多いと思います。

何故なら、途中で連帯保証人をやめたいAさんの要望をそもそも受け入れる義務がないからです。

 

まとめますと、

「連帯保証人を途中でやめることは非常に難しい」のが現実です。

 

最後に、実務上の一例としてご注意いたいだきたいことがあります。

オフィス賃貸借においてはテナント企業の入居時の代表者が個人連帯保証人となるケースが通例といえます(貸主側からも代表者が保証人となることを条件とするケースが多い)。または、テナント側からの要望で共同経営者や出資者が個人連帯保証人となるケースもあります。

その後時間が経過して、個人連帯保証人となった代表者(共同経営者・出資者)が、その企業を退職するなどしてその企業との関係性がなくなった場合は注意が必要です。

「企業を退職すれば連帯保証契約も自動的に解除される」ということはありませんので、連帯保証契約は有効に継続していくことになります。

つまり、退職等した際に連帯保証人を解除しておかないと、自身と関係のなくなった企業の賃料滞納などの保証をしなくてはならない状態が続くということです。

個人として連帯保証契約を締結しているので、「その企業と私はもう関係ありません」は通用しません。

よって、テナント企業の個人連帯保証人となり、その後そのテナント企業を退職等される場合には連帯保証人解除を必ず同時に行うべきです。

この場合は、貸主ビルオーナー側としても、企業と関係がなくなる人が連帯保証人であるよりは、新しい代表者が新連帯保証人となる方が良いので、この場合の合意解除には概ね応じることでしょう。

個人の連帯保証契約は入居時の昔のこととして忘れがちになる点ですので、ご注意いただければと思います。

 

以上の様に、個人連帯保証人については、解除等も容易ではなく難しい点が多々あります。

その様な対策として、今後は専門の保証会社を利用する機会が増えていくのではないかと想定されます。

 

以上、今回は「連帯保証人の解除」についてお話させていただきました。

ぜひ、皆様のオフィス移転やオフィス賃貸借契約締結時のご参考にいただければ幸いです。

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