ビルのバリューアップについて 前編

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橋本 猛

橋本 猛

昭和47年生まれ、東京都葛飾区出身。 趣味は映画観賞・読書・サッカー・ゴルフ・麻雀・飲み会 大学卒業後、不動産売買賃貸業、IT業、不動産投資顧問業を経て、現在:“日本商業不動産保証”に至る。 得意なことは趣味であるサッカー・ゴルフ・麻雀・飲み会で得たクリーンな人脈を使った営業。

不動産ファンド(複数の投資家から集めた資金を用いて不動産への投資を行いそのリターンを分配する仕組み)が保有しているビルはバリューアップを目指します。
バリューアップとは価値向上を意味する言葉でありますが、ビルをより高い価格で売却できる状態にするということが最大の目的です。

では、ビルをより高い価格で売却するにはどうしたらよいでしょうか。

これは単純にNOI(営業純利益)を最大にすることになります。
つまりは、収入をできるだけ増やし、支出をできるだけ減らすこととなります。
今回、前編では「収入を増やすためには」、後編で「支出をへらすためには」の二部構成でお話できればと思います。

 

■ビルの収入を上げるためには?

賃料を上げる

→エントランス、共用部、水廻りの改修

エントランスは全ての入居者、来客者の入口になりますので照明や内装によって明るさを出したり、高級感を出すなどして、そのビルによって合う仕様での改修が入居者を惹きつけます。
共用部は照明の明るさ等も重要になってきます、入居者の仕事への意識にも影響したりしますのでこちらも賃料を上げる要因のひとつとなります。

水廻りは特に女性社員が多い会社には重要なポイントです。
トイレについては、ウォシュレットだけでなく音の問題(壁の薄さ)もありますので、女性の多いテナントに入居いただきたい場合は特に考える必要性があります。

ビルによってはロック付き収納ボックスやフィッティングボード等を設置して他のビルと差別化をしているところもあります。こちらも賃料を上げる要因のひとつとなり得ます。
上記賃料を上げるポイントを中心に改修等実施しているビルオーナーは周辺マーケット相場以上のレントを目指すことが可能になります。

 

・水光熱費

→電力会社の電気量単価変動等を盛り込んでおく

電力会社の値上げ等でマイナスにならないよう最初からケアしておくべき事項です。

・その他収入

看板、駐車場、自動販売機、アンテナ等あります。

駐車場については、直接テナントを探索してマーケット賃料で決めるのが一番良いでしょう。

直接テナントを探すやり方には周辺で長時間路駐している車両所有者へアプローチというのも一つの手ですが、なかなかビルオーナーもしくは管理会社がビルの収益で占める割合が低い駐車場のリーシングに注力することは少ないです。ただ駐車場については空いているのは機会損失で収益を生まず大変もったいない状態です。

直接テナントが来ず、駐車場が長期間空いている場合にはリーシングができる駐車場会社に依頼するか、難しければコインパーキング、サブリースという方法を検討していきましょう。

リーシングでテナントが決まりますと仲介手数料がかかりますが、賃料は直接テナントを誘致するのと同等のマーケット賃料程度となります。

駐車場会社のリーシングでも決まらない場合は、コインパーキング、サブリースの検討に移行します。

コインパーキング、サブリースについてはどちらにしても3社程度の相見積もりをした方が良い選択が可能となります。
コインパーキング、サブリースの会社は非常に多く存在します。

コインパーキングの中ではビルオーナーのイニシャルコスト負担が有る場合もない場合もあります。また、車止めをつけるかどうかも会社次第となりますし、カメラでナンバーをキャッチして管理することで周辺の防犯にもつながるように運営している会社、周辺の清掃まで含めて実施してくれる会社等ありますので各会社の特徴も勘案して選択することがよろしいかと考えます。

出口を考えるのであれば駐車場会社に対してフリーレントを多く与えてでも単価が高い会社を選択すべきですが、想定を甘くみている駐車場会社もあります。
3ヶ月くらいでビルオーナーに対して解約を申し出をしてくる会社も稀にありますので、ビルオーナーはある程度の期間は解約禁止の約束を駐車場会社との契約時に盛り込んだ方がいいかもしれません。

また、入居テナントが駐車場を使いたいと申し出いただく場合も想定されますので、ビルオーナーから2ヶ月以内の予告で解約が可能できるようにしておくこともおすすめです。
オフィスの入居テナント優先にしておくことで、ビルの満足度も変わってきます。

駐車場の収益はビル収入の割合からして小さい為、疎かにしがちですが、しっかりと対策することで収入を上げることは可能です。

 

自動販売機も利益源として侮れません

もっと細かい話をしますと、自動販売機の存在が有ります。
駐車場収入よりさらに小さい話とはなりますが、1本あたりの報酬料率等は各自動販売機の設置会社によって大きく異なりますので、こちらも3社程度の相見積もりをした方が良いでしょう。
報酬料率だけにとらわれるのではなく、AEDがついていたり災害時に自動販売機に入っている飲料水が保存飲料となる自動販売機、防犯カメラ付きという自動販売機もあります。
補充や清掃を自社でやるか委任するかどうか、委任する場合であれば補充タイミングはどの程度のスパンで来てくれるかも考える必要性があります。

エントランスや外部に古い自動販売機を設置しているビルもありますが、そういったビルは自動販売機会社に申し出をして新しくしてもらうか、他の会社の自動販売機に変更するかしましょう。
新しい自動販売機に変わりプチリニューアルにもなりますし、売上も変わる可能性があります。

自動販売機の外観をビル指定のデザインにラッピングしてもらうこともできる会社もありますので、ビルの外観を優先されるかたはラッピング自販機を選ぶといいでしょう。

また最近では、飲み物のラインナップだけでなく、軽食(チョコレートやパン・お菓子など)を販売できる自動販売機もあります。
既存テナントの世代に合わせて、軽食を導入するか、炭酸を多めにするか、お茶の種類を増やすのか、商品ラインナップを調整することもビルオーナーとして考えていく必要性があります。

総合的に考えて選ぶことにより、僅かであれ収益的にもアップしますし、さらには入居テナントへの利便性向上にもつながり、トータルでビルのバリューアップにつながる大切な要素の一つとなっていきます。

管理会社が考える原状回復工事 入居スケジュール編

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